
「みんなで楽しむ、夏が来た-」ということで、2014年のコミケ会場でぽにきゃんの宣伝で掲げられていた大型タペストリーのイラストから背景回収をしつつ、2016年 三国花火 解析編 の続きを綴っていきます。
グラスリップ本放送から三度目の夏を迎え、三国花火をより深く知ってみようということで今回は事前にプログラムを読み込んで調査し、観覧に臨みました。
グラスリップ本編の雰囲気との比較を行った記録は、過去記事に掲載していますので聖地巡礼でご興味のあるかたはリンクからどうぞ。
今年から8/11は祝日「山の日」が設定され、三国花火の会場となるサンセットビーチの様子なども気になるところでしたが、実際現地に到着した15:30の時点でビーチにちらほら席が空いてるくらいで、去年よりも場所の確保が困難になっている印象を受けました。
駐車場より浜辺に出る通路は、階段の最高段のヘリに席を取ることが結構取り締まられていたと記憶しているのですが、こちらも早くから陣取られる観客が多数おられた様子でした。一昨年・去年より、浜辺に打ち立てられたテントの数が目に見えて多かったので、余計に密度が上がっているのを肌で感じましたが、8/12付の中日新聞の報道でも普段20万人の動員数が23万(主催発表)まで増加していたということで、来年以降もこの傾向が続きそうな予感がします。
去年の経験から、会場全体の花火を楽しむために出来る限りビーチ中央に寄ると決めていたので、浜茶屋の最北のお店からあまり離れてない位置で席を確保。後から来るグラスリップファンやカフェ コトノハのマスターとの合流まで待機。
当日は最高気温で30度ちょっとと、盛夏にしては過ごしやすそうだったのですが、昼さ下がりからの待機からとなると、日差しの対策が必須となります。この他、簡易のシートと重石も。重石は、ビニル袋に浜辺の砂を詰めて代用されている方も多く見かけました。
今年は去年と違って望遠レンズが使えるようになったので、SEL55210で打ち上げのポイントであるエッセル突堤に備え付けられた花火筒も観察してみました。右に見えているのが、ちょうど突堤の中央に位置する灯台。ここを越え無いで、明治期に造られた511mの堤防上で花火の打ち上げが行われます。
突堤の灯台がせっかくでてきたので、放映当時に撮りつつも使いどころがなかった写真を蔵出し。
BD & DVD 2巻より。
最大望遠で見ると、6基の花火筒と用意された火薬類も確認出来ました。
会場では今年から新しくドローンが2機導入され、観客の様子をモニター。併せて、登録の無い不正ドローンの場内操作禁止の旨もアナウンスされていました。
グラスリップ OPより。普段の浜辺は、その名にふさわしく晴れた日の暮れには、美しい景色が広がります。
9~10月位だと、サンセットの18:15辺りまでで、そのまま公共交通機関でもいい時間に福井に戻れるのでオススメ。
花火大会の当日は勿論激込みですが、先のテントの件についても、周りの迷惑にならないように畳むよう、主催から放送でアナウンスがなされていました。
さて、本題の花火について、事前にチェックしていたプログラムから。三国花火の最高潮は言わずもがなの水中二尺玉ですが、その他にも10号・20号と大きい花火の打ち上げが組まれています。準備無しにその場で打ち上げらる花火の多彩さに驚き楽しむのも捨てがたいのですが、今回は網羅的に記録してみる趣向を採りつつ、花火について勉強をしてみました。 以下、プログラムに沿って通し番号で記載。
■ オープニング
1 シャンパンタワー: 三国花火大会の口火を切る、10号玉の一斉発射。号数に応じて玉の直径が変わりますが、10号は28,5cm。打ち上げ高度が300m位で花火が展開する「開発」時に直径で300mになるとか。
複数(15位)の玉を一斉に打ち上げ段階的に開くことで、空間面積の広い華やかな演出が実現されるようです。
(SONY NEX6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 16sec )
2: 大打上 二尺玉 (八重芯錦冠橙点滅)
二弾めは毎年これで固定されている様子。二尺 = 20号で玉の直径も先の10号と比べてほぼ二倍58cm。打ち上げ時のタメと名アナウンス「二尺玉ぁぁぁ…GOぉぉぉぉー」は、現地福井出身の人すら田舎くさいと評しつつも、県外からの観覧客も含めて結構人気があるみたい。3年目で私もこれなしに見られなくなりました。
展開450m上空で、開発時最大直径も450m。展開するまでのわくわく感もたまらない。
(SONY NEX-5R +SEL16F28+VCL-ECU2, 18mm (35mm換算), ISO100, F9, 20sec , 以下、5RにはFUJI ND 0.9使用)
なお、浜辺中央付近からの撮影で、焦点距離24mmでは二尺玉が見切れることもあったので、今年は18mmで挑戦。三脚に据えたままま、フレームを動かす必要なしで撮影が出来ました。
■ 三国な夜へようこそ
04: 文字仕掛け(モナコボーイズ
)福井に移って一年目の初参加の三国花火の時、なんだよモナコボーイズって、と思ったんですよね。北陸中心に展開するパチンコ屋さんだそうで。望遠が無いとハッキリ写せないかと思ったんですが、そうでもなかった、激写の「モナコボーイズ」。二年撮れなったので、3度目の正直。
(SONY NEX-6+SEL55210 mm 75m (35mm換算), ISO100, F9, 3sec )
05:水中スターマイン
総投げ込み式の、三国花火の花。 3連綺麗に並べて撮れたのは今年が初めて。位置取りが適切だと、撮りやすいみたい。スターマインは、後半にももう一回楽しむことが出来ます。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 6sec )
08: スターマイン
一基の花火筒から、高さを変えて花火を展開させる演出が、このスターマイン。大きな花火の合間合間に、早打ち花火と合わせてつなぎの様な感じでプログラムされているみたいですが、見るのは楽しい。撮るのは意外と難しい。
(SONY NEX-6 +SELP1650, 18mm (35mm換算), ISO100, F9, 5~8se
11:斜めスターマイン
海上に向けて放物線を描くスターマイン変化形。関西では平地でしかあまり花火を見てこなかったので、これを始めて目にした時は、結構テンション上がりました。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 7sec )
■ アートオブファイヤー

12 早打ち100連発
単発の花火を速射する形で次々に打ち上げ。展開した花火が消滅する前に次の花火も開くので、単体で撮影するのは難しい。息をも着かせぬ打ち上げに、撮る方も必死でした。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 上から8,9,11sec )
13: スターマイン 光のシンフォニー
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 3sec )
14: 芸術玉 10号 「堀内煙火店花火作品コレクション」
三国花火の美麗な花火の数々。長野は伊那火工堀内煙火店が毎年これを支えていらっしゃるということで、細工にとんだ専用のプログラムも設けられています。大会中10号玉の出番はそれなりにありますが、ここは一発一発をじっくり打ち上げて下さるので、見るのも撮るのも楽しい。
開発中に数度に渡って変色する「変化菊」が多く打ち上げられる他、千輪菊も。多分今年も打ちあがっていたと思われますが、ここではおそらく撮影の機会を逃したんだと思う。下から二番目の作品のみ詳細不明。残光がかなり長く、露出も今回の撮影で最長の最長の40秒行っています。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 15sec前後 )
15: スターマイン 夜空の宝石箱
三基を使って幅をもたせた「ワイド」スターマイン。ビーチ中央で席取りすると、水中花火以外は結構向かって左側を鑑賞することが多いみたい。カメラの向きも適宜要修整。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F9, 9sec )
■ GO! GO! 三国花火

16: 2尺玉打上げ2連発 「GO! GO! 三国!」
中盤戦の景気づけに、あの名アナウンスで2連発の二尺玉。
上が「八重芯錦冠」、
下が「芯入錦冠先色蜂」。
花火の名前は、末尾に尾を引く残り火のちらつきの状態を盛り込むそうなのですが、色蜂はカラフルな色合いの火が蜂が飛ぶようにランダムにうねるので、かなり見ごたえがあります。2014年にグラスリップ巡礼で三国花火を訪れた際、大会中に白山神社への移動しながら、本編の透子達よろしくあの急な階段で一際大きな音に振り返って目にしたのが、この「芯入錦冠先色蜂」でした。見た目もさながら、個人的にかなり印象深い玉です。
砂浜からでは、18mmでは収まるけれども、24mmでは見切れるくらい長大。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算9, ISO100, F9 ,30sec )
17: 文字仕掛け
大会中、文字仕掛けは二回。今回は撮影失敗。割と水平位置に展開されるので、砂浜からだと観客の影になりやすいのが難。
■祝市制10周年坂井市 “花 木 鳥”&EXPLOSION!!
今年は坂井市合併後の10周年祝賀ということで、例年よりプログラムが少し変化。ここを挟んでクライマックスの大水中二尺玉に繋がっていきます。
21: 夜桜吹雪
プログラムを調べていた時から、是非撮ってみたいと思っていた作品のひとつ。初回のシャンパンタワーに同じく、10号の一斉打ち上げ。展開の時間はこちらの方が長い。17の文字仕掛けの際に暗くて上手く取れずにISOを200に引き上げた状態のまま設定を戻していなかったらしく。盛大に白とび。ISO100でなら、おなじ露光時間でそれなりに撮影出来ていたと思われます。花火は風が無い方が綺麗に開きますが、これに関しては風があるのもよさげ。次は絶対撮りたい、撮りたい。
(SONY NEX-5R+SEL16F28+VCL-ECU2, 18mm (35mm換算), ISO200, F9, 16sec )
22 世界一大きなゆりの花 (二尺玉)
例年、坂井市の市花の「ゆり」を表現するときはスターマインで打ち上げが行われることが多かったと思うのですが、こんかいは二尺玉ということどんなのが打ちあがるか楽しみでした…。
これって、調べてみるとひょっとして「八重芯しだれ八方変化"牡丹"」な気がするのですが、どうなんでしょう。
普段のスターマインの方がユリらしく見えたような。
このとき気付いてなかったのですが、文字仕掛けの撮影失敗時にピント合わせも不正確なまま撮影していたらしく、超広角撮影分は少し眠い感じになっていたことに編集段階で気が付いたのでした。
(SONY NEX-5R+SEL16F28+VCL-ECU2, 18mm (35mm換算), ISO200, F9, 28sec )
23: かもめと笑顔の花火
三国花火は、ビーチ以外に南の発電所周辺の駐車場観覧席や、北の宿泊施設からでも観覧できるので、二次元的なイラストモチーフの花火は、絵になる角度が限られます。なんとか見れるのはこの一枚くらいしか撮れんかった。 線を線として認識しやすいよう、どうもF値を絞る方向で触っていたらしい。
(SONY NEX6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 5sec )
24: 早打ち花火
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 7sec )
25: 大水中2尺玉 「EXPLOSION!!」 (緑芯錦先青紅銀乱)
THE 三国花火 。水中花火はすべて投げ入れ式の三国花火ですが、これのみ海上で浮遊設置で、舟で点火後に高速で離脱するらしく、見てる方もハラハラです。
前二年から、中心を捉えるべくビーチの真ん中に席を確保したわけですが、三国花火で最も見るべきにして最も撮るべき大水中火は、もう少し高さがあって海面と観客を入れ込んでダイナミックに撮る必要があることを思い知りました。ベストポジションは報道や地元の写真愛好家等が前日以前から押さえてる様子なのでほぼ無理だけど、なんとかもっといい写真撮ってみたい。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 6sec )
■アートオブファイヤー スターマイン
26: 早打ち花火
早打ち花火の中に捉えた、千輪菊。今年は打ちあがる位置に月が映り込んでくることも多かったので、なかなか良いアクセントになって撮りがいがありました。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 6sec )
27・28: スペシャル音楽スターマイン ~ 早打ち花火
スターマインと早打ち花火の混合で、下半分は低く早いタイミングで波打つように花火が展開。
プログラムには明記されていませんが、三国エッセル突堤の長さを活かしたオリジナル花火「東尋坊の波しぶき」が引くと…。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 10sec )
29: 銀瀧 (ナイヤガラ)
ナイヤガラが出現。ナイヤガラって、銀瀧(ぎんたき)っていうのか。勉強なった。
ナイヤガラは幾分地味な感じなので、これまでスルーしていたのですが、なんでも撮影に挑戦してみようということで今年は撮り方を事前に調べて臨みました。しばらくナイヤガラ単体で点火されているので、直近の撮影で撮影環境を崩してしまったNEX-5Rの方を落ち着いて設定変更。露光を短めに抑えました。上部に上弦の月を入れて。
(SONY NEX-5R+SEL16F28+VCL-ECU2, 18mm (35mm換算), ISO100, F16, 1sec )
30: 早打ち花火
ナイアガラとのコラボ。露光の必要のある打ち上げ花火と、露光で飛んでしまうナイアガラを両立させるため、最適な設定を探りつつの撮影でした。後から撮影条件見直すと、絞り気味にしながらナイアガラが白とびせず、ギリギリ花火の軌跡も見える辺りをなんとか探してたみたい。9秒近くの露光だと、もうちょっと破綻する感じか。撮ってみようと思わないと身に着かない感覚もあるので、いい経験になりました。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F16, 5、5、9sec )
■ これぞ三国の大花火

32: 水中スターマイン 同時打ち上げ 10号玉連発
二回目の水中スターマインも、デザートなんてもんじゃなくて最後までメインディッシュ。ここに10号玉が付くので、空間的な配置がさらに密になり文字通り夜空が花火で埋め尽くされます。千輪菊とのコラボも見られたんですが、今年は前方に煙の張り出しが残ったのが、ちょっと残念だったかも。
グラスリップ一話「花火」では、花火のシーンの曳き直前でこの上下に縦横無尽に繰り出される打ち上げ花火と水中花の美麗な演出があるのですが、このプログラムの二回目のシーンをなぞったものだったのだなと気付かされました。大水中花のような分かりやすい単発なものより、とめどなく繰り返される色とそして音を引き起こす、このテーマ。色んな人々の感情を交えての沸騰する坩堝の中、その中から透子の声を見つけ出す駆と、高校最後の夏を経て、友人関係の平穏無事と存続を(割と楽天的に)願う透子。やなぎから雪、そして雪から透子、浩から幸。特別な感情の行き先を複雑に交差させながら、そこに反復・反響するこの後半の水中花火を乗せてくるのは、円熟してない半端に開いた花火たちの重なり合いを見ている様で改めて素敵な演出であったように思われます。
ちなみに、花火終了後の三国港駅からの鉄道は長蛇の列になりますので、この辺りまで見て会場を後にするのが賢明なところですが、今回はビーチに入り込んだところしか陣取れんかったので、結局最後まで見ていくことに。
33: 二尺玉二連発
上 「八重芯錦冠点滅」
下 「紅芯錦冠(?)」
ラスト手前の二尺玉に連発。過去記事にも書きましたが、浜辺から見る三国花火は、見た目は勿論この興奮にのせて音圧が気持ちいい。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 29, 12sec )
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F6.3, 30sec )
34 斜めスターマイン
そういえば、斜め内のスターマインってどこから打ち上げてるんだろうと思ったのですが、上掲載の6基の花火筒とは別に、突堤のもう少し内側に専用の発射装置が組まれてるようです。電柱のある付近を歩いていて、少し焦げたところがあるのは、このスターマインの後だったみたい。フィナーレ近くともあって、この斜めのスターマインもより一層華やかに。
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F13, 4sec )
■ フィナーレ
(SONY NEX-6+SELP1650, 24mm (35mm換算), ISO100, F16, 5~6sec )
錦冠ワイドスターマイン 「ダイナミックスターマイン」
ひとつ前の斜めスターマインと前後することもあるようですが、今年2016はこれで締め。
最大展開だとほぼ白とびでしか(自分の腕では)撮影できないので、その少し手前のものを現像。
- まとめ -
今回は、花火のこともよく知ってみようということで、撮影の構図や記事作りも網羅的・記載的なもので少し冗長になりましたが、まとめるなら三国花火のオススメはやっぱり水中花ということになるでしょうか。出来れば中央、高さを稼いで海面に映った構図で撮りたいなぁ。
シーズン中に見られる花火大会の数にも限りはありますから、プログラムが入手可能な場合に、何を目標に花火を堪能しに行くのか、個人的に今後の良き指標かつ資産になったと思います。
また、来年以降もグラスリップも含めて三国花火に興味をもった方の参考になりそうなら幸いです。
今回もカフェ コトノハのマスターはじめ、関東から起こしのグラスリッパー おっきーさん、キタムラのフォトコン受賞の実力派カメラマン あけびこのはさん、ご一緒頂いた 巨匠と修行中の女性カメラマンさんもお付き合い頂き巻いて誠にありがとうございました。また撮影に行きましょう!
■記事作成に当たって、方針・内容に不備不適切があれば善処致しますので、お知らせ頂ければ幸いです。